退職後の菜園入門 家庭菜園の栽培日記

初心者の方へ 野菜の育て方 ヒントとポイント

野菜肥料 化成から発酵ケイフンへ 土着菌の活用

急激な化成肥料の高騰に対応するために、発酵ケイフンの活用と微生物を活かすという、新しい方法での取り組みをはじめました。

その結果、手間のかかる作業になりましたが化成肥料と変わらない収穫ができました。


おいしい野菜をつくるために

新鮮であればどんな野菜もおいしくいただけます。

せっかく自分でつくるのですから、なおそのうえに、キュウリはキュウリらしく、キャベツはキャベツらしいおいしさを味わいたいものです。

土を肥やす方法

なんといっても土を肥やすことが第一です。

もちろん肥料をやることも大切ですが、ベースになる土が重要な役目をします。

このあたりでは、大量の堆肥をいれて土を活性化しています。

わりと近くに牛とか鶏とかを飼っているところがあって、そこで大量の堆肥をつくっています。
いがいと安く、一車1トンで数千円と聞きました。

私はもっと簡単に野菜残渣と草の活用をしています。
いまなら、イモヅルがたくさん畑に残っています。

草も抜かずに地上部を刈り取るだけにしています。
これだけで十分いい野菜がとれています。

基本的には地中の微生物を繁殖させるということを考えています。

なにかをして、いきなり土をよくするのではなく野菜をつくりながら、徐々に改良していくという考えです。

草をはやす

上に書いたことと重なるのですが、草はできるだけそのまま置いておきます。
ただ、花が咲くころには刈らないと種を落とすので草が増えます。

土は裸地にしておくとどんどん痩せていきます。
草でもはやしておいたほうが土中の細菌が生き延びます。

草刈りは草刈り機で刈り取ります。
刃はナイロンコードを使っているので、草は粉砕されてすぐに枯れて土にかえっていきます。

植える前には平ぐわで根を切ってから、ミニトラで耕します。

残渣(ざんさ)の活用

残渣については上でも書きましたが、そのほかマルチにも使います。

とくに暑い時期には株もとに敷いて、乾燥を防ぎます。

乾いて小さくなったものは、作付けの前にミニトラですき込みます。

このあたりの方は、乾燥させて燃やしてしまいます。
畑には草も生えず、残渣もないということが美徳とされているようです。

細菌の活性化

土着菌の働きを助けるような作業をしています。

これは下に書いていることと同じことなのですが、土に空気を入れて活発に動くようにしています。

この考え方がベースにあるので、以下の土に空気をいれるなどの作業が必要になってきます。

有機肥料の活用

有機肥料は発酵ケイフンを使っています。
安いからですが、かなりの肥効もあります。

そして基本的には細菌のエサと考えているので、ケイフンは浅く空気に触れる程度の深さに入れています。

土に空気をいれる

上に書いたことと同じです。
土着菌を活躍させるためには空気が必要だと思っています。

たとえば、ナスの追肥には畝の両サイド、通路に近いところに発酵ケイフンをまいて耕します。

これだけでナスの元気が回復して、長く収穫できます。

土寄せの必要性

土寄せは倒伏を防止するためだと思われていますが、それだけではありません。

もっとも重要なことは土寄せによって株元、根まわりに空気を送り込んでやることです。

これで微生物が活性化して、残っているケイフンなどの有機物をたべて増えていきます。

肥料のやり方と種類

肥料は発酵ケイフンを使うことは上の項で書きましたが、具体的には以下の作業をしています。
1)畝の肩にまく
2)数日置いておく
3)草取りをかねて、土に混ぜ込むように土を寄せる

ただ、葉がまく野菜、実をつけるやさいにはN:P:Kが14:14:14を使うこともあります。

発酵ケイフンを使う

発酵ケイフンを使うことは何回も書いてきましたが、ケイフンに限ったことではありません。
なにを使ってもいいと思います。

ただ、油粕は未熟なのでまいてから1週間以上してから土に混ぜるようにしてください。

異常なガスがでて根を傷めます。
これについては、未発酵のケイフンも同じです。

このことは米ぬかでも同じ現象があらわれます。
米ぬかのほうが強いので、土に混ぜ込むまでには1か月くらい置いていたほうがいいかもしれません。

発酵ケイフンは石灰分も含んでいるので、石灰も必要ないかもしれません。

ボカシ肥料

条件がそろうのであればボカシ肥料をつくることをおすすめします。

嫌気発酵と好気発酵の2種類があります。
ポイントは量です。
バケツ一杯くらいではうまく発酵しないので、すくなくともその10倍くらいは必要かと思います。

雨を防ぐために、わりと大きな納屋が必要になります。
発酵の最終段階に化成を入れて仕上げると、よく効くいいボカシになります。

嫌気発酵ならば大きめの密閉できるごみ箱などが利用できます。

空気と混ぜて発酵を促す

この件についてはすでに上で書きました。

発酵というとボカシのような熱をもった発酵を思いうかべますが、分解と考えたほうがいいかもしれません。

細菌が働くには水分と細菌のエサが必要です。
また好気発酵の場合は空気が必要です。

このため土に混ぜ込むわけです。

化成肥料

化成肥料をまったく使わないわけではありません。
必要に応じた使い方をします。

必要なとき

  • 花が咲きはじめたとき
  • 長く収穫する野菜には最初の収穫のときに
  • 葉がまく野菜にはまきはじめに

こんなときに化成を一回だけやります。

私が使っている化成肥料はNPKが14:14:14の高度化成 *1 です。

害虫対策

害虫にはいちばん頭を悩ませます。

いまエンドウ類を植えていますが、見るたびに苗が倒れています。
全部ヨトウムシがかみ切って倒れてしまいます。

多少でも収穫をしようと思うと、やむを得ず薬を使うことになります。

前半で残渣を焼くということを書きましたが、この害虫の卵あるいは幼虫を処分するためには焼いたほうがいいのかもしれません。

ネットをかける

ネットで防虫をするのはかなり有効です。
ただし、蝶類が卵を産まないためだけなので、そのほかの害虫は防げません。

逆に言うと、蝶が入らないためだけなら網目は多少粗くてもいいということになります。

網目が粗い防風用のネットは割安なので、それで代用できます。
ただし、少し重いかもしれません。

手で捕殺する

ネットが間に合わない、ネットが不足した野菜は毎朝手でとり除くしかありません。

手抜きをするために、中心の成長部にいなければいいとします。
多少こんなこともしなければ、腰を痛めることになります。

手ではとれない害虫

手ではとれない害虫もいます。
ネットの中に入ってくる小さな虫です。

たとえばダイコンサルハムシとかヤサイゾウムシとか小さな隙間から入り込んでくる虫です。

これには手を焼いていますが、いまのところいい解決方法はありません。

ダイコンサルハムシは根元に密集していることがあるので、そこに台所洗剤を薄めたものを噴霧してもいいと思います。

この洗剤ですが、思いのほか強いので野菜にかからないように注意してください。

農薬の使用

あとで出てくる土着菌のために農薬は使いたくないのですが、収穫をするためにはどうしても必要なアイテムになってきました。

私が使っている農薬は以下のとおりですが、最近はもっといい薬が出ているようです。

1)オルトラン粒剤
これは苗を植えるとき、植穴に1グラム混ぜ込みます。
おもにヨトウムシ対策です。

2)ダイアジノン
地中の虫対策の薬です。
サツマイモの肌をなめるコガネムシの幼虫を防除するために使います。

3)トレボン1000
ほとんどトウモロコシのアワノメイガにしか使いません。
殺虫剤です。1000倍に希釈して使います。

4)ダコニール1000
タマネギのベト病にだけ使います。
殺菌剤です。1000倍に希釈して噴霧します。

どの薬でも、使用については注意書きを守ることは当然ですが、その上に収穫する一か月間は使わないようにしています。

このことから小松菜などの軟弱野菜は、種まきから収穫までの時間が短いので使えないことになります。

有機栽培の効果

主たる肥料に有機物を使うと野菜の生長が遅くなり、しっかりとした野菜がとれます。

有機野菜のいいところ

よくいえばしっかり、あるいはがっちりとし野菜になりますが、わるくいえば少し硬めの野菜になります。

これは冬野菜をみればよくわかります。
たとえば白菜は寒さで生長が抑えられ、がっちりとして重くなります。

そして、どちらかというと多少筋っぽい葉になります。

春キャベツを考えてみると、ふっくらとまいて生で食べるとおいしい葉になります。

もうひとつわかりやすいのでレタスです。
寒さの中で育つと、葉が厚くかたくなります。

初秋にとれるレタスは、球がかるくふんわりとまいています。

有機野菜の困った部分

まず手間がかかります。
発酵ケイフンを使いますが肥効が少ないので、散布回数が多くなります。

そして、それに応じて土寄せの回数も増えます。
土寄せは三角ホーが役に立ちますが、条間を軽く耕すあるいは草をとるためには適していません。
(深く掘るので根をいためます。)

そこで、アサリ掘りに使う小さな熊手のようなものが役に立ちます。
これで土の表面をサッとかいて、小さな草の根を浮かせます。
このときケイフンと土が混ざってよく効きます。

最後に

おわりに畝のたて方について考えてみたいと思います。

元肥をまく

まず畝をたてる部分の草をとり元肥をまきます。
元肥苦土石灰または消石灰を使います。
白い粉の消石灰は使いにくいので、粒状の石灰を使います。

畑のphの状態にもよりますが、うちの畑ではもう石灰は必要なく、発酵ケイフンでカバーできると考えています。

くわしくはphを量る酸度計を使うとわかりますが、うちの畑では石灰をやらなかったからうまくできなかったという現象はありません。

たぶんケイフンを使うことでph値は抑えられているのだと思います。

ただキク科のとくにレタスとかゴボウ、アカザ科のほうれん草にだけは無条件に石灰をやります。

深くおこす

肥料をまいたあと、数日してから耕します。
耕し方はスコップで深くおこします。

スコップ*2は深く差し込むのですが、完全に掘り上げる必要はありません。
空気を入れるためなので、かるく浮き上がらせる程度でいいと思います。

そして全面を掘る必要もありません。
60センチの畝をたてるのでしたら、中央一列に30センチ間隔あるいはもう少し長くてもいいと思います。

このあと鍬かミニトラで表面の土を細かくして畝をたてます。

畝をたてたあとに発酵ケイフンをやってもいいのですが、こうすると苗の根が浮いてきます。

表面のケイフンを微生物が食べて空気が入るのでこうなるのだと思います。
あとから押さえつける作業が大変なので、混ぜ込む作業をしています。

たとえばナスなどの根が深く張る野菜は、耕盤をくずして深く耕します。
(耕盤とは水田をしていたところでは、トラクタで耕すのでタイヤで踏みつけて、地表から20センチ程度のところに硬い岩盤のようなものができることです。)

根の浅い小松菜などは必要ないと思いますが、できるだけ耕しています。

もちろん根が深くまで伸びるためでもありますが、
深くまで細菌の活動ができるようにするためです。



ながながと思いつくままを書いてきましたが、いまからはじめる方、あまりむずかしく考えずに毎日の作業を楽しんで長く続けてください。

ありがとうございました。

*1:NPK合計が30以上

*2: ショベル・シャベル